こんにちは。
Vérité Office リラクカウンセラーの浅賀桃子です。

今日のブログでは、「目標を細分化する」というテーマをとりあげます。

 

 

 

■行動と結果

心理学で「行動と結果の随伴性がある」ということがあります。
随伴性というと少々堅苦しい言葉だと思われるかもしれませんが、要は行動と結果が伴っている状態のことです。

行動したことによって何かプラスに働く(=結果)、そう思えるから多くの人は行動を起こせるのだと思います。
しかし、自分が行動しても何も変化が起きない(=結果が随伴していない)場合はどうでしょうか。

ここで、あるネズミの実験をご紹介します。

ネズミを3つのグループに分けてそれぞれに電気ショックを与えます。
グループの条件は下記の通りにします。

第1グループ: 何をしても自力で電気ショックを止められない
第2グループ: 目の前にあるパネルを1回押すと、電気ショックを止められる
第3グループ: 目の前にあるパネルを8回押すと、電気ショックを止められる

この実験では電気ショックを与えた後のネズミの胃を解剖し、ストレスの度合を調べるべく潰瘍の大きさをはかりました。

さて、みなさまは一番潰瘍の大きいグループはどれだと思われましたか?

実験結果は「第3グループ」のネズミ、となったのです。

つまり、行動と結果が随伴している第1グループよりも、随伴しているはずの第3グループのほうが潰瘍が大きかったわけですね。

なぜでしょうか?

■行動コスト

得られる価値(先ほどの実験でいうところの「電気ショックから逃れる」)に対して、支払う”行動コスト”(先ほどの実験でいうところの「8回パネルを押す」)が高すぎると思われるときは、その行動自体を差し控える方に向かうことがよくあります。
「頑張れば望む結果が得られる」と分かっていたとしても、その前提となる「期待」が低いと、行動の意欲が湧かないということです。

次の項でもう少し具体的に考えてみましょう。

 

■ 富士登山のお話

行動の意欲が湧くように、目標を簡単なものにしていく例として、私が先日富士山に登った際の話をご紹介します。

富士登山ルートにはいくつかルートがあります。
※参考 富士登山ルート    富士登山オフィシャルサイト    

私が選んだ御殿場ルートは

  • 人が少ないためマイペースで登れる
  • 高山病になりにくい (スタート地点である新五合目の標高が一番低く(1440m)、五合目という名前がついてはいますが実際は2合目相当))


利点はあるものの、

  • その分距離が長い
  • 山小屋の数も他ルートに比べ少ないため休憩しづらい(7合目(3030m)まで一切山小屋・トイレ・売店がない)
  • 景色が単調(砂利道の連続)


という点で難しいルートとされているようです(ちなみにこのルートを選んだ理由は脚力に自信があったからではなく、単にマイペースで登りたかったため)。

富士登山は初めてでしたので、山小屋が遠い、というところで何度もくじけそうになりました。
「次の山小屋まで頑張ろう」と思いたくても、次の山小屋がはるかかなたにしか見えない時点でそうは思えなかったものでした。

そこで、モチベーションを保つため、「次のポールまでなんとか頑張ろう」と目標までの距離を縮めながら登ったのでした。

※ポール:緊急時位置確認だと思いますが、下の写真のようなポールが登山道の各所に建てられています

■自己効力感を高める

この「なんとか頑張れそうだ」と思える感覚、これを心理学者のアルバート・バンデューラ(Albert Bandura)は「自己効力感(self-efficacy)」という考え方にて提唱しています。
そして身近でハードルの低い目標の重要性も説いています。


私たちは目標というと、つい大きなことを考えてしまいがちです。
目標を高く持つことは必ずしも悪いことではないのですが、それがあまりに遠い将来の目標になってしまっていると「かえって意欲がわいてこない」ことも出てくるでしょう。先ほどの「行動コスト」が上がってしまうからです。


目標を細分化し、行動コストを下げ、目の前の小さな目標を淡々とこなしていくことにより成功体験を得る。
この積み重ねが、ひいては自己効力感を高めていくことにつながっていきます。

特に新しいこと、難しそうなことを始めるときなど、この方法はおすすめです。