B-Brainについて(2) サッカー応用編

前回ブログ「B-Brainについて(1)」で脳の各部位の説明をさせていただきました。脳タイプに関しては左脳3次元、左脳2次元、右脳3次元、右脳2次元に関してそれぞれ特性があることを説明しました。B-Brainがバイオエルティ社と筑波大学体育系ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センターとの共同研究により現在の脳診断の形になったことを踏まえて、また、実際にスポーツへの応用もあることなどから、サッカーに当てはめて考えてみました。私自身サッカーのテレビゲーム開発に関わった経験を活かしてお話しできればと思います。

最初に

今回説明する上での前提知識として、前回、左脳3次元、左脳2次元、右脳3次元、右脳2次元の各数値を足すと100になることを説明しました。また各部位ごとの数値が23以上の場合、その部位が優位となります。各部位の何箇所が優位かにより、全体の割合が下記のように判明しています。大半の方(約93%)は2つまたは3つの部位の数値が23以上になると考えられます。

  • 1点優位・・・約2% 1部位のみ23以上で、他の部位は22以下である場合。
  • 2点優位・・・約40% 2部位が23以上で、他の2部位は22以下である場合。
  • 3点優位・・・約53% 3部位が23以上で、残る1部位は22以下である場合。
  • 4点優位・・・約5% 4部位全て23以上である場合。

上記を踏まえて、サッカーの場合に求められる「脳力」とはどのようなものになるのかお話ししたいと思います。サッカーは個人の能力もさることながら、ポジション、フォーメーション、戦術そして対戦相手も含めるととても複雑な要素が多くあり単一解はないものと考えておりますので、本ブログを読まれた方は「そういうこともあるかもしれない」という気づきのキッカケになれば幸いです。

国・地域ごとの優位な部位は?

各国代表チームも監督・選手次第でチームのカラーも選手の特性も変わりますし、刻々と変化していくので、また、対戦相手により変化させるので型にはめることは非常に難しいと考えられますが、以下、私の偏見で書いてみたいと思います。

ヨーロッパは?

論理的で合理性を重んじる点で「左脳3次元」が優位ではないかと考えられます。ただし、ヨーロッパも多種多様な文化があるので一概にまとめてくくると怒られてしまいそうですが。。。2番目に数値の高い脳タイプは国により別れるのかなと考えています。また、ビルドアップを重視する国(スペインでしょうか)や堅守の国(イタリア)は「左脳2次元」優位かもしれません。ショートパスを確実に繋いでいくのは正に「左脳2次元」という印象です。

南米は?

情熱的でクリエイティブ、スペース(空間)認識能力が高いブラジルに代表される(国ごとにスタイルが異なるので「南米」と括ると怒られてしまいそうですが)サッカーは「右脳3次元」が優位ではないでしょうか?また、ルールや決まりごとに縛られるヨーロッパ型左脳タイプの管理下では「右脳3次元」タイプにとっては苦手な環境かもしれません。とはいえ、ヨーロッパの各国リーグで活躍している南米選手も多いのでこれは人によるのかもしれません。

一方で、アルゼンチンはブラジルとは同じじゃない!というご意見もきっとあると思います。ごもっともです!アルゼンチンは「右脳3次元」の別の特徴である「変化への強さ」ではないかと考えています。同じ脳タイプでも環境や文化で違った特性になるのかもしれません。また、この環境適応力は、ヨーロッパのリーグで活躍している南米出身選手の「脳力」かもしれません。「右脳3次元」の注意点は、この情熱的なエネルギーが落ちてくると不遇な境遇になる可能性なのですが、伝説のドリブラー ガリンシャ(アーティストと評された)を思い浮かべずにいられません。

そして日本は?

日本人に多いタイプ「右脳2次元」と考えられます。人間関係を重視し相手の事を大事にする反面、自分の意志に従って決断をすることは苦手、というあたりは以前はあったかもしれません。現在の日本代表はこうした面からは一皮むけてきたようにも思います。分岐点は、2002年ワールドカップ日韓大会だったと感じています。この時の事は宮本恒靖氏(現日本サッカー協会会長)のインタビュー記事がコチラに書かれています。記事を読んでみると、「右脳2次元」のもう1つの特徴「1つの事をじっくり研究するのが得意」が生かされたともいえるかもしれません。

 

脳タイプごとの最適ポジションは

ここまで国や地域単位での傾向を私見で書きましたが、次は脳タイプごとの最適ポジションについて書いてみたいと思います。ただ、このポジションの役割も、フォーメーションだけでなく戦術や状況により大きく変化するので、これもまた乱暴かなと思いますがご容赦いただければ幸いです。身体能力とは別の「脳力」の面でお話ししようと思います。

サッカーのポジションについて

ポジションと言われても「サッカーは詳しくないのでわからない!」という方もいらっしゃるかと思います。参考までにコチラを参照いただければ幸いです(このあと注釈だらけになってしまうので、、)。おそらく、サッカーのポジションや役割をフォーメーションや戦術を踏まえて解説すると数百ページになってしまうので、お許しいただければ幸いです。(流石にそこまで書けないのですが(汗))

マルチロール

複数のポジションと役割をこなすことのできるマルチロールの選手は、左脳3次元、左脳2次元、右脳3次元、右脳2次元すべて23以上の4点優位タイプと考えられます。全体から見ると約5%しか存在しない人材なので希少ですね!様々なポジションをこなすマルチな方、きっと職場にも時々いらっしゃいますよね!

ゴールキーパー

全体を見渡せるポジションであるゴールキーパーに求められる能力は何よりも「右脳3次元」ではないでしょうか?次にビルドアップと共にリスクヘッジできる能力「左脳2次元」ではないかと考えています。全くもって個人的なことですが、以前風間八宏氏率いるフットサルチームと対戦して決定的なシュートを3本止めたことで試合後に風間さんから「ナイスキーパー!」と言われたのは私の宝物です。

センターバック

守備の要であるセンターバックは危機管理能力が求められるのではないでしょうか?また堅実で粘り強い「左脳2次元」の素養が求められているのではないかと考えています。センターバックでも攻撃参加するリベロ(機を見て攻撃参加するセンターバック)は「右脳3次元」の数値が高いかもしれません。代表的な選手としては今年亡くなられたフランツ・ベッケンバウアー氏(憧れの選手でした)、近年では今年引退される長谷部誠選手がブンデスリーガ(ドイツのプロリーグ)でリベロとしてプレーしていました。また、センターバックでもストッパーやスイーパーの役目を担う選手はリスク管理能力が高い「左脳2次元」の数値が高いかもしれません。

ボランチ

ボランチはセンターハーフあるいは守備的ミッドフィルダーとも言います。「守備的」という言葉を入れてしまうと役割が限定的に感じてしまうので、あえてボランチ(ポルトガル語で「舵」・「ハンドル」の意)という表現を使用します。

ボランチに求められる能力は、リスクヘッジとビルドアップ、そして全体俯瞰と、攻撃の起点ともなる高い空間認識能力、それぞれ「左脳2次元」+「左脳3次元」+「右脳3次元」ではないかと考えられます。また、ボランチはフォーメーションにより、1人だったり、2人、3人の場合もあります。

ボランチが2人以上の場合、全員同じ能力ではなく、適度にバランスが取れていると良いかもしれません。2人の場合、1人が守備的な役割を高くするのであれば「左脳2次元」を高めに、もう1人は「左脳3次元」+「右脳3次元」を高めに攻撃の起点となるようなバランスでも良いかもしれません。

攻撃的ミッドフィルダー

実はここから先は書く事が難しくなって、うんうん唸っていたのですが、願望も含めて書いてしまいます。攻撃的ミッドフィルダーに求められる脳力は、ズバリ「右脳3次元」ではないかと考えています。高い空間認識能力はスルーパス、その一閃で試合の流れを変える能力、変化に対応する適応能力面では守備を固められてもその壁を撃ち抜くプレイではまさに「右脳3次元」に期待したいと思います。

また、攻撃的ミッドフィルダーは守備側の目線でいうと、予測のつかない独創性のあるプレーは重要な資質ではないかと思います。つまり、次のプレーが読めてしまうと簡単に攻撃の目を摘むことができてしまうからです。パスを出すとわかっていればカットすれば良いし、ドリブルするなら抜かれないように間合いを取ってプレーすれば良いし、シュートしそうならゴールへのコースを塞いでいけば良いのですが、いずれのプレーに出てくるかわからないとなると守備が難しくなるからです。

フォワード

フォワードと言っても、多種多様ですが、やはり結果重視の「左脳3次元」を求めてしまいます。たとえそれが、ごっつぁんゴールだとしても、美しくなくても、泥臭くてもゴールはゴール。フォワードは得点してこそなので、願望も含めて「左脳3次元」ということで、今回のブログを締めたいと思います。

最後に(For the Team)

ここまで各ポジションに求められる脳タイプの素養を説明しましたが、何か抜けていると感じませんか?そうです「右脳2次元」です。もちろん、マルチロールには1要素として入っていますが、ポジション別での要素には入っていません。では「右脳2次元」はサッカーには役に立たないの?とお思いのあなた!とんでもない間違いです。サッカーにおける真の裏方こそ「右脳2次元」の脳力者なんです。

サッカーの最大の特徴は攻撃と守備に関わる人数が変化することです(話すと長くなるので割愛!)。攻撃時には数的優位な状況を作るために攻撃側の選手はプレーヤーのいないスペースを作る動きをします。その誰もいないスペースにボールが出されて走り込まれたらどうなるでしょう?危機的状況ですね。この攻撃されてしまうかもしれないスペースを埋めるプレーヤーが時に「中盤のダイナモ」と呼ばれる選手たちになります。

この「For the Team」の動きをする選手こそ「右脳2次元」なのではないかと考えています。チーム全体のことを考えてプレーする縁の下の力持ちです。悪く言えば人の顔色を見てしまう脳タイプですが、相手の考えていることを察する脳力と共に研究熱心な素養があるので、誰よりも早く危険を察知できるかもしれません。パッと思いつくのは、Jリーグ開幕当初活躍された北澤豪選手、ヨーロッパで活躍されたクロード・マケレレ選手ではないかと思います。

誰よりも走り、チームに貢献するけれど目立たない彼らのような方を是非評価してほしいと思います。そして気づかれた方もいるかもしれませんが、この「右脳2次元」こそが日本に最も多い脳タイプと言われています。頑張れ日本!

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