こんにちは。
ベリテオフィス代表の浅賀桃子です。

あっという間に2月になりました。
昔から「1月は行く、2月は逃げる」といいますが、その表現通りのバタバタした1月でした。
今年はこれまで以上にチャレンジの年にしていくつもりです。
セミナー企画、スヌーピーセラピー本の出版など、どんどん加速していきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。


さて、今回はイレギュラー的に、これまでとはちょっと毛色の違う記事の更新となります。
このたびAmazon Kindle本の商業出版を行いました。
私も校正や出版手続きで少々関わらせていただいたわけですが、このKindle本出版後に必要な税金の手続きについて、今後の参考のためにもということで、この場を借りてまとめさせていただきました。
(申請をした2014年2月4日現在の情報となりますのでご承知おき願います。今後変わる可能性もあるかと思います)

 

1. なぜ税の手続きが必要なのか

AmazonのKindleストア(以下KDP: Kindle Direct Publishing)で売上を受け取る時、そのまま何もしないでいるとアメリカの所得税がかかってしまいます。なぜならAmazonのKDPの契約相手がアメリカ本社だからです。
ちなみに、アメリカの所得税は30%と高率です。

このアメリカ所得税を回避するための手順等についてまとめます。

2.SS-4申請書を準備

まず、米国法人番号である「EIN」を取得する必要があります。
EINを取得するために、このSS-4という申請書をアメリカ合衆国内国歳入庁(以下IRS)に提出します。
IRSに提出する書類はこちらからPDFをダウンロードしてください。
このPDFはパソコン上で記入が可能です。
もちろんプリントアウトして手書きでも可能ですが、後述の通り記載終了後FAXで送ることを考慮すると、文字がつぶれても読みやすいように、パソコンからの記入をお勧めします。

3.SS-4フォームの記載方法(法人の場合)

個人の場合の記載方法については他のホームページでも先人による記載がちょこちょこ見られました。
日本からの申請が増えたからでしょうか、Amazonの日本語ページでも記入例が出ています。
基本的に私も上記ページを参考に記載を始めました。
しかし、この記入例は「個人事業主」の場合です(各項目の記載事項は後述しますが、9aに法人の種類を入れる欄があり、Amazon日本語ページの記入例ではSole proprietorとなっています)。
今回は日本の会社(法人)として申請をしますので、記入例とはちょっと違うところがありますので注意が必要です。

上記画像は実際に私がIRSに申請をし、無事にEINを取得できた際のSS-4フォームです。
この画像に基づき、記載項目の解説をします。

1: Legal name of entity (or individual) for whom the EIN is being requested
EINを求める組織(または個人)の正式名称

今回の申請では会社名を記載します。
ちなみに個人の場合は自分の名前になりますね。
個人事業主の場合もここには屋号ではなく、個人名を書くことに注意です。

2: Trade name of business(if different from name on line 1)
1.の正式名称が事業の商号と異なる場合は記入

個人事業主の方で屋号がある場合はこちらに書くことになります(書かなくても通っているケースは多いようですが)。
今回の申請では省略します。

3: Executor, administrator, trustee, "care of" name
執行者、管理者、信託者の宛名

今回の申請では省略しました。
法人でなければ特に、ここに書く必要はないでしょう。

4a: Mailing address(room, apt., suite no. and street, or P.O. box)
郵送先住所(部屋番号、マンション名、番地、町名)
4b: City, state, and ZIP code (if foreign, see instructions)
郵送先住所(市区町村、都道府県、郵便番号)

なお5a、5bは4と現住所が違う場合に記載する欄なので同じならば書く必要はありません。

6:County and state where principal business is located
主に事業を展開する国

日本ですのでJapanと記載します。

7a:Name of responsible party
責任者

自分の名前をローマ字で記載します。個人の方は1.と同じ記載になります。
今回は法人として申請しますので、会社の代表、役員などの名前を記載します。

7b:SSN, ITIN, or EIN
SSN(Social Security Number:社会保障番号)やITIN(Individual Tax Identification Number: 個人納税者番号)、EIN(雇用者番号)等があれば記入する。
(ここの説明文はこちらのサイトのline 7bの欄に載っておりますので、関心のある方はご覧ください)

この項目、web上でも迷われている方が多いところかと思います。
いろいろな情報があふれていますね。実際、私も迷いました。

上記サイトに書かれている7b部分のざっくりとした日本語訳としては、「EINを申し込んでいる唯一の理由が、事業主体分類選択をすること、そしてあなたがアメリカ非在住外国人もしくはアメリカ合衆国内で発生した収益に関連しないほかの海外組織でない限り、SSN、ITIN、もしくはEINを記入する必要がある」のようになると思います。(つたない訳ですが…)
大半の日本人はSSNやITINは持っていないでしょう。またEINについても、そもそも取得するためにこのフォームを書いているわけなので、持っているわけもありません。
ということで、上記項目は「空欄」が本来正しいように思われます。実際、Amazonの日本語ページの記入例にも、ここは空欄で書かれています。

しかし、先人の体験例などを読んでいると「書類不備で取得できなかった、IRSから来た手紙を読む限り、7bに問題があるらしい。空欄で出したのだが、EINと書いて再送信したら通った」と記載してあるサイトにいくつかであいました。
私の英文理解では空欄で良いように思えたため、実際FAXを送るギリギリまでここを空欄で出すかEINと記載して出すか迷いました。
結局、EINと記載して送りました。そう決めた理由は、単純ながら"「EIN」と書いて取得できなかった、という逆の例について情報を得ることができなかった"ことにありました。

8a:Is this application for a limited liability company (LLC) (or a foreign equivalent)?
LLC(有限責任会社)のための申請かどうか

ここではNoにチェックします。

8b:If 8a is “Yes,” enter the number of LLC members
8aがYESの場合、人数を記載

8c:If 8a is “Yes,” was the LLC organized in the United States?
8aがYESの場合、米国内に所在するかどうか

9a:Type of entity (check only one box). Caution. If 8a is “Yes,” see the instructions for the correct box to check.
法人の種類を選択(チェックするのはひとつだけ)

今回の申請ではOther(specify)にチェックを入れ、横の欄にJapanese Corporationと記入します。
Corporationという欄がありますが、日本の会社の場合は別ですので注意が必要です。
個人事業主の場合は同様にJapanese sole proprietorと記入ですね。

9b:If a corporation, name the state or foreign country (if applicable) where incorporated
法人の場合、州と国名を記載

ここは国名のみ記載します。

10:Reason for applying (check only one box)
申請理由(ひとつのみチェック)

まずOther(specify)にチェックを入れ、横の欄に理由を次のように記載します。
To obtain a reduction of withholding imposed by section 1441 pursuant to an income tax treaty.(所得税に関する租税条約に基づいて、セクション1441で課せられた源泉徴収税を軽減するため。)
記載例では、その上のOther nonprofit organization (specify)にもチェックが入っているものも見かけましたが、「ひとつのみチェック」と初めに書いてありますし、上記のみで問題ないでしょう。(フォーム自体は、チェックボックスに複数入れても問題なく保存できるようにはなっていますが…)

11:Date business started or acquired (month, day, year). See instructions.
事業を始めた日

12:Closing month of accounting year
会計年度

13~15は略

16:Check one box that best describes the principal activity of your business.
17: Indicate principal line of merchandise sold, specific construction work done, produced, or services provided.
主に取り扱っている商品やサービス名を選択/記載します。

18:Has the applicant entity shown on line 1 ever applied for and received an EIN?
1.の申請者は今までにEINの申請・取得をしたことがあるか?

初めてですので、Noにチェックします。

最後に署名欄です。(Third Party Designed欄は省略)
Name and titleのところに氏名と役職を記入します。法人の場合は、7aで記載した氏名でOKです。
Signature(署名)とDate(記入日)は、プリントアウトして直筆で記載してください。
Dateについては、提出先のアメリカ式にて、日/月/年の順にて。

Applicant's telephone number (include area code)
Applicant's fax number (include area code)
電話番号、FAX番号を記載します(国番号を含む)。

こちらはパソコン上で記載が可能です。日本の国番号は81です。
記載方法ですが、たとえば日本で03-1234-5678だった場合、81-3-1234-5678となります。(03の「0」は取ります。携帯の「090」も同様です)
手書きで書かれる場合はこれでOKです。
ただフォーム上では、なぜかハイフンを入れると入力しきれない場合があるようです(少なくとも私の申請時はそうでした)
ですので私ははじめの()に(813)と入力、そのあとにハイフンなしで「12345678」、のように入力して申請しました。

4.記載後

出来た書類はFAXで送ります。
郵送でも送れますが、時間と費用が掛かりますので、FAXが送れる環境にある方はFAXのほうが早いでしょう。
IRSのFAX番号は、010-1-859-669-5987です(2014年2月4日現在)。
たびたび変わる可能性があるので、事前にIRSのサイトで確認されることをお勧めします。

私は今回、日本時間2月4日の午後6時ごろFAX送信しました。
時間帯によっては、何度送っても先方のFAXがビジー状態になっている、という方の声もききましたが、今回は1回で問題なく送信できました。

5.そしてEIN取得

無事にEIN番号が追記されたFAXが返送されてきました。
2月7日の朝確認がとれましたので、実質2日で返ってきました。思っていたより早かった印象です。

このあとは、免税のための手続き:W-8BEN(正式名称:Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding。アメリカの源泉徴収における受益者の海外在住証明書)を作成します。
この作成に取得したEIN番号が必要になるわけですね。

W-8BENについては、別エントリーにてまとめようと思います。